平成30年6月13日(2018)私は介護サービスのかたに車椅子に乗せてもらって青梅市の吹上しょうぶ公園に出掛けた。往復はタクシーで行ったが、途中で塩船観音へはここからが行く道だ、と言う場所を通った。その道は私が60年位前、小作(おざく)駅からバスで塩船観音へ行った時の道とは違うような気がしたが、記憶が曖昧で良くわからなかった。
出発の前日にNHKでアヤメが見頃と言うような放送があった。私はアヤメと菖蒲は同じ花だと思っていたが辞書を引いて見ると別の花だった。
当日は午前9時半頃老人ホームを出発し、10時少し過ぎた頃しょうぶ公園に到着した。そこで一人200円の入園料を払って公園の中に入った。公園は両側が丘の、林にかこまれたような所に細長い田圃があって、これを谷戸(丘陵地が浸食されて形成された谷のような地形、またはその地形を利用した農業を指す事もあり、おもに東日本の丘陵地に多くみられる)と言うそうだ。
そしてその細長い田圃の中に、説明書では10万本といわれる花菖蒲が美しく咲き乱れていた。
吹上しょうぶ公園 2018年6月 青梅市
私が見た所では10万本は多すぎるような気がしたが、私達が行った時も菅笠をかぶった人(男か女かよく解らなかった)が田の中に入って菖蒲の花がしおれたのを1本1本引抜いており、ずいぶん苦労して整備して、常に美しい菖蒲園にしておく大変さが私達にも感ぜられた。
花も紫や黄色や白など色々な花があり、咲いている期間も長いので、10万本近くなるのかもしれない。
私が菖蒲園に行ったのは花を見るのと、写真の好きな私が菖蒲の花を撮影するのが目的であったから、車椅子を押してもらって、しょうぶ園の周囲をぐるりと一周して、美しい花の咲いている要所要所で車椅子を止めてもらって、菖蒲の花を撮影した。デジタルカメラの画像を見ると大写しの菖蒲の花がよく写っている。白い花もあり黄色い花もあり紫の花もあったが、とりわけ紫の花が美しく、私もすっかり満足した。
吹上しょうぶ公園 2018年6月 青梅市
青梅市吹上の菖蒲園のある両側が小高い丘で、林にかこまれて細長い水田になっている所は「谷戸」と言うそうだが、一見して私は同じ風景を何処かで見たような気がした。それが何処だったか色々考えてみたがどうしても思い出さなかった。ちなみに私は今までこの菖蒲園に行った事はない。
また菖蒲が咲いている道をはさんで一方の山側には赤く背の高さ2メートル位ある茎があってそこには赤い美しい花が咲いていた。
吹上しょうぶ公園 2018年6月 青梅市
娘に聞いてみたらそれは立葵という花で、菖蒲とはちがって数は少なかったが、別の意味で美しかった。私は拝島の墓地や、田のあぜなどで秋の彼岸頃に赤い花を咲かせる彼岸花かと思ったが、花が咲く季節が考えてみると違っていた。
彼岸花は有毒植物であるが、薬用やデンプン糊としても使用されていた。また曼珠沙華とも呼ばれ、曼珠沙華の咲く頃はちょうど秋の彼岸の頃である。また地方によっても異なるが7月15日は盂蘭盆会(ウラボンエ)で仏教の教えで祖先の霊魂を送り迎えする日で初日の13日には迎え火を最終日18日には送り火を焚いた。送り火・迎え火を焚いた日の夕方の奥多摩街道(旧日光街道)に面した家の前で、どこの家でも一斉に麻幹(おがら)を焚いたのでうすくらくなった街に一斉に灯りがついたようでその光景は幼い時からずっと心に焼付いている。
お盆に本当に私を大事にやさしく育ててくれた両親の霊魂に会えるなら、今でも会いたいと思っている。
だいぶ本題から離れてしまったが、素直に言って、初めて見たしょうぶ園は美しかった。
私達は立川で昼食を取り、午後1時半頃老人ホームへ帰った。
なお細長い田園と言ったが、吹上菖蒲公園の細長いたんぼには稲は植えてなく、水もなかったようだった。
2019-08-06 12:09:00
榎本良三のエッセイ