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隠れた逸品

隠れた逸品

坂本謙郎

 今の世の中はものにあふれ、お金さえ出せば何でも手に入る時代だ(?)。若いひとのバッグの人気ブランド名を並べてみると、☆ポーター、☆ザ・ノース・フェイス、☆コーチ、☆アニエス・ぺー、☆RNA、☆ロンシャン、☆マリメッコ、☆ルイ・ヴィトン、☆トウミ、☆フルラ、☆ルーカ、☆プラダ、☆ラシット、☆エルメス、などとこの様な具合である。人気であっておしゃれ順ではない。因みに男性のブランドバッグ第一位ポーターは名前が売れてきた日本製である(吉田カバンが1962年に立ち上げたブランド)。
ポーターはここの数年急伸したブランドで少量生産・家内生産が中心で、少量丁寧な生産で名を売った。皮とか、作りならグッチとかロエべなどのブランド名が何故はいっていないのか不思議だ。本格的なバッグは皮と鞣しが良いことと内部が革張りであることが価値を決めるのだと聞いているし実際使って見ると、その意味がわかるはずだ。

刃物の技

 話は変わるが最近日本の刃物が海外にまで大好評のようだ。日本の刀の技術を利用した包丁を、ある海外のシェフに試して貰ったところ大好評で、だいぶ人気が出てきたようである。そのメーカーの包丁やハサミ、どれも素晴らしい切れ味だが、その切れ味を保つには頻繁に研がなければいけないのが無精ものには欠点かも知れない。商品名は〝関の孫六〝という。

本当かどうかは分からないが、ドイツのゾ-リンゲンが外注しているとか。一つの仕事に打ち込む会社は小さくても大きな仕事が出来るものだ。

ジッパー(チャック;ファスナー)

 ジッパーもチャックもファスナーも呼び名が違うだけである。このアイディアはアメリアカで発明され今やパンツ、ジャケット、バッグなどの至るところに使われていて目立たない存在だが、なくてはならない存在である。そのなかでYKK印のジッパー がとびぬけて多い。ジッパーのタグを見ない限り関心を持つことはないだろうが、YKKは今や世界のシェアの40%で、年間売上高100億ドルとめざましい業績を上げている。しかし殆どの人がそんな大企業とは知らないが、地味であってもこれだけの業績を挙げられる好例である。
聞いてみたら一企業が海外に投資して工場を100前後持った事による成果だそうだ。黙々と一つのことをやり遂げた成果だ。

ミニベア

 一般のひとは殆ど聞く名前ではないが、あらゆる機械には回転する〝軸〝が多くあり、必ずと言っていいほどその〝軸〝を支え、よりなめらかにその回転を助けるベアリング(軸受)が使用されている。ベアリングは車輪・歯車・タービン・ローターなどを取り付けた回転する〝軸〝を支え、回転を助ける部品で、丸い鋼鉄の玉にすぎないが、車から、バイクから電化製品、飛行機、ミサイルなど使ってない物のほうが珍しいくらいだ。ミネベアミツミ株式会社(NMB)は外径30mm以下のミニアチュアベアリングに強く、シェアが世界で60%以上と首位、タイに工場を持ち安定した業績を挙げている。実際の例を文房具で挙げると、ボールペンの芯に使われている。ボールペンの先に0.28mm径の鋼鉄製の真円のボールが使われ、日程欄に日誌が書ける程、ものすごく細い線が引ける。
その他半導体素子用のシリコンを作っている信越化学、模型のモーターからスタートしたマブチモーターなどなど隠れた優良企業がたくさんある。

コンデンサー

 日本ケミコン株式会社は、1931年からコンデンサーという電子部品を作り続けていて、いつの間にかトップシェアを獲得し、世界1位となった、コンデンサーは今のITの時代には不可欠の電子部品で、車にテレビにパソコンに携帯電話など、あらゆる電子機器に数個から数十個使用されている。派手でではないが、縁の下の力持ちである。数年前にある電気店のパソコンコーナーに売っていた、台湾製のノートパソコンに【日本製コンデンサー使用】との表示がついていた。信頼度が高いことの証拠である。
面白いことに、この会社にもう一つの世界ナンバーワンの製品があった。コンデンサーの性能を決める主要素材のアルミニュウム電極箔である。この電極箔についても、世界No1を誇り、他社に供給している。長年の技術の蓄積がものをいう世界の様だ。性能の良い材料と長い間蓄えた優秀な生産技術によって造られた日本独特の努力の結晶であろう。工場の一つは青梅にもある。売上1300億の会社とは思えない、地味なたたずまいである。

2020-10-06 17:12:59

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