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Las Vegas

Las Vegas

坂本謙郎

 ベガと言えば夏の夜空を飾る彦星と織姫星(Vega)を想い浮かべる。織姫は日本名の付けられた数少ない星であるが、ラスベガスのVegaはそれと違ってスペイン語の“肥沃な大地”の意味の女性名詞単数形を複数形Vegasとし、それに女性定冠詞複数形をつけて固有名詞にしたもので、この地は1820年代後半に西海岸からカリフォルニアを目指したモルモン教徒によって発見されたモハーベ砂漠の中にあったオアシスの場所であった。

 ラスベガスは東海岸ではニュージャージー州のアトランティックシティと並んでカジノとギャンブルで有名である。またこの町のあるネバダ州は、法人税、個人所得税が無い上に、ほかの税金も低いためにシティグループ等大企業が多数進出している。
アメリカはこの様に各州ごとに独立した法基準が決められる権限があるため、各州ごとの制度の差が大きい。Las Vegasの現在の市長はキャロリン・グッドマンという女性市長(81歳)で、前市長は夫君であった。
 ラスベガスの特徴の一つは規模の大きさだろう、カジノの数は50を超えるそうだが、およそ、その中の20位までは巨大なカジノビルで、一階は殆どカジノだけで2階以上は宿泊フロアとなっていて、最上階に近いフロアには特別客のための特別階がある。しかも宿泊費は毎日変わり、土曜日に上昇し月曜日にさがる。写真業界のイベントが例年2月にあったので我々は1970年代頃から90年代ごろまで、各社合わせると日本から100人は優に超える人数で毎年ラスベガスに出掛けた。学会レートで通常の半額であった、MGMグランドの大フロアを借りて世界中から写真業界関連のいろいろな業種の人たちが集まった。この土地は冬でもそれ程寒くなく、雨がほとんど降らないので、大変過ごし易かった。 アメリカは何でも大きいことが好きであり、ラスベガスとて例外ではない。
 巨大さの一例を挙げると、この巨大ホテルの中のステージには、スケートの出来る銀盤がせり出していたり、大きな象が3-4頭出てきたり、その巨大さには呆れるほどである。ショウのエンタテイナは一流で、歌手・歌劇などここで成功すると、ニューヨークのブロードウエイに出演できるのだそうだ。トップアーチストだと一晩で数十万ドル稼げるという。

 1階のカジノはコインで遊べるスロットロマシンからカードゲームで大型の賭博をやる場所もある。特別額の大きい賭けは、一般が入れない超高階の特別室があり、そこではワンチップ千ドルで一挙に20枚かけるとか。負けても顔色一つ変えないと聞く。数千ドル単位取りはごくあたり前で、数十万ドルから、数百万ドルが動く。ホテルもセキュリテイーは固く、いつもガードが密かに見張っている。エレベーターの中まで監視が行き届いている。
 真夜中でも電光が絶えない不夜城であるその電力は、ベガスより南に位置する、人口湖のミード湖から供給されている。この湖はラスベガスのために建設されたといわれている。
 昔のLasVegasは賭博の国、男の世界で、ジーンズにシャツ姿は見られなかったが、70年代になるとヨーロッパの巨大な都市の名を冠した巨大なカジノホテルが誕生し、女性・家族等誰もが楽しめる場になった。ゲームにはトランプカードを使うが、一度使ったカードは新品同様のまま捨てられてしまう。ゲーム中に印などをつけられない様にするためで、使い捨てたカードはお土産に売っている。
 カジノは24時間営業であるから、食事も24時間可能で、宿泊者にとってはありがたい。特に海外から来た人間は時差があるから殊に有り難い。現在はシャツにジーンズの集団、ベビーカーに幼子供を乗せた主婦、高校生の集団、その人たちの集まるファストフード店などが大賑わいで、あの壮大なギャンブルの町は一部レジャーランドの雰囲気に変りつつあるようだ。
 ここで少々チップのことにふれてみよう。ラスベガスのショー、キャバレーに行くには予約が必要である、その場合一番役にたつのが、フロントのよこにいる´コンシェルジェ“の存在で、ショーやコンサート、その他諸々のややこしい頼みを金次第で聞いてくれる。映画に出てくるシーンそのもので、金額次第、交渉次第で、ない筈の席や切符が現れる、地獄の沙汰も金次第、ない筈の席を金額次第で思い出してくれる、など実にアメリらしい。昔と比べ一番の変化はナイトクラブの隆盛である、例えば老舗MGMは7500万ドルかけて大改装して、今は一番人気だそうで、普通の安い入場券で時間待ちだと、2時間頑張って入場するしかないが、この手をつかえば並ばないで良い席をとるこができる。ディスコは特別席をとれないと一晩中立ちどうしになる。座ろうと思うと一人数百ドルから千ドル必要だと言われていた。さすがのラスベガスも時代の波には逆らえない部分と、より付加価値をつけて益を図る部分とに分かれて行くのだろうか?いずれにしても、Las Vegas は色々な点で異次元を味わわせてくれる町である。

2020-11-06 10:36:38

坂本謙郎のエッセイ   |  コメント(1)

 
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コメント

洋子さんから連絡があってから拝読してのお便りで、執筆時から時間が経っていて申し訳ありません。
旅の恥は掻き捨て What happens in Vegas, stays is Vegas.  
と、最近ラジオ講座で聞き、ラスベガスのことが気になりました。わたしはアメリカ合衆国を訪ねたことがなく、諺の論拠となるそちらの様子をよく識る人から聞きたく思っておりましたので、大変興味を持ちました。シニアの英語講座に関わっていて、そこで紹介したいと思っております。仕事(CESという展示会)で何度か訪問したという友人からは、VegasをSapporoに変えることができると聞きました。

田尻 訓枝 のりえ / 2021-05-09 00:23:46

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