ポン・デュ・ガール(Pont du Gard)
ポン・デュ・ガール(Pont du Gard)
坂本謙郎
南フランスを旅すると、必ず見学コースにポン・デュ・ガールという橋が入っている。赤褐色の石作りの見事な 3 段のアーチでできていて、いつ見ても素晴らしい景観だ。導水路のある上部の長さは275 m、全体の高さはガルドン川の最低水位から49 mで、約2000 年前古代ローマ人によって建造され、6 世紀にわたって実際に使われていた水道橋であった。これほど長く使用された例は稀であろう。
現在はガール川に架けられた部分しか残っていないが、昔はユゼスの水源からニームへの導水路としてはるばる50キロの道のりを山や谷を越え、曲がりくねった石作りの水道でつなぎ、見事に精度の高い水路を 3年間で完成したとのことだ。これ程の優美でしかも正確なものが短時間で出来たとは、とても想像できない。
三度目に訪れた時、初めて有料の一番高いアーチの中に連れて行かれた。その時まではまさか、中が人が通れるトンネルになっているとは想像もしなかった。その建設技術の巧みさはエジプトのピラミッドにも匹敵するかと思われる。ただヒエログリフ(象形文字)の様な文字は見当たらなかった。現代の先端都市の高層建築も素晴らしいが、自然を利用した構造物はまた違った迫力を感じる。今のイタリアからしてみれば、先祖がこんな素晴らしい遺産を残したことを、どう思っているのだろうか。
イタリアがユーロ圏で現在、どんな位置にいるかというと、最近の話題の一つはジャンボジェット機の話である。大型のジェット機を生産しているのは、アメリカの ボーイングとヨーロッパのエアバスの2社である。エアバス社はヨーロッパの各国の分担生産方式がとられている。主な分担メーカーは、フランス、ドイツ、英国、スペインで、エンジン部分などは一部アメリカが参加している。何故かイタリアは参加メンバーにない。分担各国は、それぞれの部分を作り、フランスに持ち寄って一機を完成する。
あれほどの巨大帝国が、時を経ると、いつの間にか力が低下してしまうのは何故なのだろうか。
エジプトも、英国も、スペインも・・・。
2020-12-10 18:24:36
坂本謙郎のエッセイ
| コメント(2)
コメント
古代ローマ人は偉大ですね.
私もこれまでに古代ローマの遺跡をいくつか観てきました.
近い将来Pont du Gardへも足を運びたいと思っています.
URLはスペイン,タラゴナ郊外の水道橋を訪れた時の記録です.
岩橋主税
/ 2021-01-01 15:01:33
こんにちは。初めてお便りいたします。
南フランスの三階建て水道橋、圧巻です。地震のない地域なのでしょうか、よく保存されていますね。
それにしても、古代文明発祥の地はなぜ時を経ると衰退してしまうのか私も
不思議に思います。
久米晶子
/ 2020-12-14 17:35:57