ポルトガルのグループツアーに参加したときのことである。
この旅は南北に長いポルトガルを一周したうえで、更に1000キロ以上離れた大西洋に浮かぶマデイラ島にも行くという、あまり催行されないツアーだった。ほぼ20日の旅を終えて帰国する前日の夕方、最後の晩餐でホテルから離れたレストランに行くことになったので、数人ずつタクシーに分乗した。それぞれのタクシー運転手にホテルの従業員が行き先を告げて、間違いないように配慮した。ところがいつも一緒の女性4人組が、待てど暮らせどレストランに到着しないので大騒ぎになった。そのころのポルトガルは治安が良くなかったので、皆がいろいろな憶測をした。一時間以上待っても到着しないので、グループのうち数人ずつその場で荷物を監視する役、事態を警察に届ける役、ホテルに連絡する役とに分けて大騒ぎしていたところへ、30分くらいしたら4人組がタクシーでホテルに戻って来た。彼女たちは変なところで降ろされたので、一旦ホテルに戻って来たとのこと、皆もやっと安心した。しかし、レストランの予約時間はとうに過ぎていたので、改めて他のレストランを探して間に合わせた。その4人組はとても印象に残るような恰好をしていた。
それから数年後、ヨーロッパの旅でイタリアへ行ってシェナで一休みしていた時、何気なくどこかで見かけたような人たちだと思って近寄ってみたら、同じツアーの反対周りに参加していたまさにポルトガルで会った女性4人組だった。相変わらずの出で立ちで相変わらずの4人組で、再度こんな場所で再会するなんて驚きだった。
確率からすると、ある国に違う旅行社のツアーで違うルートで行って、同じ場所で同じ時間に、偶然出会う確率は1000万分の1くらいであろう。しかも私がそのほうを見て気が付かなければ,遭えなかった。そんな機会が思い出す限りで4回はある。