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ツキまくった一年

ツキまくった一年

坂本謙郎

 はるか昔の事であるが、人生でこんな当たり年は初めてだった。
 バブル時代で立川市にデパートが乱立し、景気が良かった頃のことである。
年末に買い物をした時に抽選くじを20本貰って相棒と半分ずつにして、ガラポン抽選器(新井式回転抽選器:一般的な、商店街の福引きなどに用いられる抽選器)で抽選することになった。どうせテイッシュぐらいしか当たらないと高をくくって、ワイフと別な列に並んでそれぞれの抽選をした。彼女は残念ながら、全部「空くじ」だった。私もせいぜいひとつくらい当たりがあれば良いと思って10本引いたところ、初めは予想どおり「空くじ」であったが、3回目から見慣れない白い球が出てきて、何やら文字が書いてあった。

 不審に思っていると、抽選担当者たちが一斉に集まってきて、おめでとうございます!と言われたが、なんの事かわからなかったので5万円ぐらいあたったのかと聞いたら、違いますとの答えなので、ではハワイ旅行かなと言っても違います、との答えで、何があたったのかと聞いたところヨーロッパ旅行です、との答えがあった。
 さらに残りの抽選をしたところ3本「当たり」が出た。こんなことは生まれて初めてだった。このとき私は仕事の関係で旅行にはいけないことが解っていたので、子供たちかワイフの何れかに行ってもらうことにした。最終的にはワイフが行くことになった。そのころにしては、かなり豪華な旅だったようだ。
 年を越して暫くたって、車のバンパーが凸凹になってきたので修理したいと思っていた矢先に、駐車していた私の車がバックしてきた運送社のトラックにぶつけられて、修理が出来てしまった。当たり年というシャレにもならないが、こんな事は後にも先にもない。
 こんなふうに年末の抽選以降の一年間くらいは何を引いても「空くじ」なしで、こんなことがあって良いのかと思った。
 この一年で一生分の運を使ってしまったのではないだろうか。私は凸凹な人生のほうが好みなので、幸運を使い果たしても仕方がないと思っている。
 話は逸れるが、このエッセイを出すのにMr.K.Araiとネットの掲載に尽力戴いているMrs.Yokoに不思議な縁で繋がったことも、金運は尽きたが人運がまだ残っているのかと感謝している。

2021-08-04 15:50:25

坂本謙郎のエッセイ   |  コメント(0)

 

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