1)ヒバリの三段鳴き
ヒバリの三段鳴きという言葉を聞かれたことがあるだろうか?
ヒバリが麦畑や川原で天高く飛んで鳴いていることはご存知だと思うが、その鳴き方には三種あることをご存じだろうか。
いわゆる“三段鳴き”と呼ばれている鳴き方で、雄のひばりが鳴きながら、はじめは決まった高さに上がりきる、語尾を上げる鳴き方をし、最高点に達すると違う鳴き方に変わり、降りるときには語尾を下げる違う鳴き方をする。鳴き終わって降下するときには、自分の巣から遠い場所に降り、自分の巣の位置を知られないような所に降り立ち、それから巣が蛇などに悟られないように自分の巣に歩いていく。そのために人間が巣を見つけようとするなら、親が巣に帰り着いた頃を見計らって近づき、親が驚いて飛び立つところを見て、その巣の位置を見つける。石の下とか草の根本に綺麗に草で編んだ巣の中に、ヒバリの子供が大きな口を開けるのを見た瞬間は大感激である。
本当に稀であるが、たまたま蛇がヒナを襲う場面に出くわしたことがある。その時、親鳥が自分が傷付いているようなふりをして蛇を巣から遠ざける様は 小動物でも子供を守る本能を見て感動した。
同じような事だが、巣にいるヒナも排泄物を巣の中にしないで外にお尻を出して行う、それを親鳥がさらに離れた所に持っていき、天敵から気付かれないような距離まで運んで行ってしまう。これらの一連の行動は、誰が教えることではない、親の行動もヒナの行動も長い年月の上で遺伝因子に起こった変異で伝わっていくのであろう、自然とは大変な事を仕出かすものだ。偶然にしては余りにも出来すぎだ。人間が、一番本能が少なくなった生き物ではないだろうか。