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ポータブルラジオと無線機通信に凝る

ポータブルラジオと無線機通信に凝る

 昔の話だが、会社に入社したての戦後間もない頃、ポータブルラジオと言えば小型(そのころ)真空管を使った6球スーパーヘテロダインというラジオが羨望の的で私たちはせいぜい安物の音の悪い並4という一歩遅れたもので満足していた。あるとき外国商社勤務の先輩にそのころの最先端であった、ソニーのトランジスタラジオを見せられて、将来給与が上がったら欲しいと思っていたが、なかなかその夢は達成出来なかった。そのラジオは、そのころの私の月給の3倍はした。遂にその夢は諦めてその頃手に入る部品を秋葉原に行って買って来て、自作する事にした。
 なぜなら高校(旧制高校)の頃にラジオを手作りしていて、高校生が作ったにしてはそこそこの出来だったので、欲を出して同級の友人にも作ってあげていた。そのころから秋葉原通いが始まって、大学の初期まで続いていたからだ。

 ついにある年の暮れから、かなり高級なオールバンド(注1)の無線機を組み立てる事にした。年末から正月半ばまでかかって、やっとのことで仕上げた。それを使って、世界中のアマチュア無線の信号を聞いた。そのお蔭で無線の世界の面白さにほれ込んで、ささやかなアマチュア無線を始めようとしたが、アマ無線の免許を取る手続きが煩雑なので、無線機を買うだけで免許不要な50チャネルの短波バンドでアマチュアバンドを始めた。この無線機は短い波長帯で、遠方には届かず、秋川大地の東側と北側あたりにはそこそこ届いたが、西と南は山で遮られ、思うようには通信が出来なかった。

 そこでもっと遠距離に届くようにしようと考え、当時の自宅は鉄筋の二階建てであったので、屋上に360度回転する大型の八木アンテナを自作した。

大型八木アンテナ
大型八木アンテナ

 手間がかかっただけあって電波の届き方が断然長距離になった。毎晩一生懸命努力したお蔭で常識では10km程度の送受信範囲が一挙に増加した。長距離に届くように大型の360度回転できるロータリーアンテナをつけると、何と全く電波の入らないところから、予想しない電波が偶然入ってくるのは本当に嬉しかった。北は那須高原辺りまで、東は筑波山辺りまで、南は殆ど電波が入らず、西側は奥多摩の山に阻まれて殆ど通信が出来なかったが、偶然に甲府周辺の電波が突然入って来ることがあって小躍りして喜んだことがある。電波を発信した方も、受けた方もお互いに知らないのに大喜びしたものだ。

 そのころはこの種類の無線機を砂利トラックが積んで中間同士で交信していた。慣れてくると決まった相手がみつかって、車に乗せて地方に行ったときも運転しながら未知の人とも通話で大変楽しい交流が出来た。今は携帯電話でやっているが、その頃は手軽な手段がなく、違法ながらお互い夢中で楽しんでいた。その頃のトラック運転手には無線しか交信手段がなく、必然的に違法ながら楽しんでいたようだ、このトラック無線は言葉がやくざ風でその言い回しをしないと会話に入れてもらえなかった。この会話に入れると小型やくざになった気持ちだった。時々親切な運ちゃんが、スピード取り締まりがあるときに前もって知らせてくれる等のメリットもあった。そのころには、私の娘がやるようになって、より楽しくなった。
 無線は、正式なアマチュアメンバーになると、大型の機器でも小型の機器でも世界を相手に昼も夜も交信できるが、免許を取る余裕がなく正式なアマチュア無線家になるのは諦めた。もし実現できて入れば、世界中の無線家と交信できたろう。無線交信の醍醐味は世界中の無線家と交信でき、その時に確認できた、ベリカード(注2)という無線局同士の交信確認証明書を交換してその交信国の珍しさ、特別な珍しい局、有名人、気象状況が何時も悪く滅多に繋がらない局、定置局でなく、たまたま珍しい場所に移動していた局など、ベリカードを交換して愉しむことが現在でも活発に行なわれている。

 変わった交信方法では、人口衛星を中継に使った交信などがある。この方法だと通信環境が無い無人島からでも衛星無線で通話ができる。いまとなっては手遅れだが、アマ無線のライセンスを取って、無線機のもっとましなのを設備出来ていたら、家にこもって無線交信三昧画出来ていたと思うと返すがえす、免許の要らない無線局を始めたのが残念である。後悔先に立たずだ。


注1 バンド(=波長)アマチュア無線に割り当てられた周波数帯はアマチュアバンドまたはハムバンドと呼ばれる。
注2 ベリカードVerfication Card(ヴェリフィケイション・カード)の日本語的略語で、リスナーが放送局に送付する受信報告書に対して、放送局が任意かつ好意で発行する受信確認証(=ベリフィケーションカード)のこと。ベリカードはその国のアイデンティティーや、文化、お国柄などを表したデザイン、有名な建物や風景などの写真が印刷されている魅力的なものが多い。

2024-01-18 11:11:00

坂本謙郎のエッセイ   |  コメント(0)

 

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